04
そのひかりが、朝爽やかな笑顔を浮かべて言ったのだ。
『はいこれ。お弁当。私が作ったの』
嫌な予感はしたが、満面の笑みで差し出されては何だか逆らえなかった。
それに時間も無かった為、そのまま受け取って出て来てしまったのだ。
ひかりが持っていた銃は、ずっとベッドの下に仕舞われたままだ。
普通にしている分には家事を任せても安心だし、記憶を無くしている事を感じさせない。
ただ少し能天気で明るくて、そのくせ不安げに揺らぐ瞳がクラスメートの女子とは何処か違う事を感じさせる。
つくづく分からない少女だ。
「勇、今日もバイトだろ?」
隼が唐突に勇の思考を遮った。
「ああ」
「もうすぐ給料日だし、頑張らないとね」
隼はそう言いながら食べ終わったパンの袋をビニール袋に詰め、勇の弁当を取り上げた。
「あっ、これ美味しいよ!いい彼女持ったねー」
「勝手に人の弁当を食うな!」
勇が弁当箱を奪い返すと、隼は楽しそうな目を向けて来た。
「今度会わせてね」
「だから、いないものに会わせられる訳無いだろう」
「まったまたー、照れちゃって」
もう、完全にからかわれている。
ひかりが朝から懲りに凝って作ったらしいメルヘン弁当を食べながら、勇は軽い頭痛を覚えた。
あの雨の日から、自分の生活は変わり出した。
全ては、一人の少女を拾った為に。
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Reservoir Amulet