05


すっと教室に入って来た転入生を見て、隼が意味有りげな笑みを浮かべて勇を振り向く。

勇は眩暈を覚えて頭を支え、やはり先程の嫌な予感は気のせいでは無かったと痛感した。

嫌な予感程、よく当たるものなのだ。

担任の横に立った転入生は、勇とは対照的に落ち着き払った涼しげな声で言った。

「夕村ひかりです。宜しくお願いします」

担任が黒板にチョークでその名を書く。

勇はもしかしたらこれは悪い夢かもしれないと、一度強く目を閉じてから開けてみた。

しかし、そんな期待もすぐに虚しく砕けた。

相変わらずひかりは黒板の前に立って穏やかな微笑を浮かべているし、教室の中は突然の転入生にざわついているし、隼はにやにや笑ってこちらを見ている。

やはりこれは認めたくはないが現実らしい。

そして、あろうことか担任はひかりの肩にぼんと手を置いて告げた。

「じゃあ神崎の隣が空いてるから、そこに座ってくれ」

「……何だって?」

勇が低く呟いている間に、ひかりは側まで歩いて来た。

隣の席に鞄を置きながら、勇に向かってにっこり笑う。

「優しくしてね、お兄ちゃん」

「…………」

悪夢だ。





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