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「じゃあ神崎は、今年も奨学金を取るんだな?」

「はい、そうしたいですけど。問題ありますか?」

担任は書類に目を落としながら首を振った。

「いや、成績も良いし素行も問題無い。よし、手続きは俺がやっておくからもう帰って良いぞ」

「有り難うございました」

勇は担任に軽く頭を下げ、職員室を出た。

夕日が窓から射し込み、誰もいない廊下を照らし出している。

練習中らしい吹奏楽部の楽器の音が、何処からか聞こえて来る。

それでも人が少ない夕方の学校は、何となく寂しい気がした。

勇が施設を出て独自の奨学金、特待生制度のある県内でも指折りの進学校に入ったのには理由がある。

教師になりたかったからだ。

教師は人の生き方に大きく左右する仕事だと、今までの経験で知った。

良くも悪くも生徒は、教師に少なからず影響を受ける。

勇のように。

自分が進むと決めた道に迷いは無い。

でも時々。

時々、不意に押し寄せて来るものがある。

人気の無い昇降口で靴を履き替え、外に出る。

そして門の近くまで歩いた所で立ち止まった。

門の柱に寄り掛かって、一人の少女が立っていたからだ。

少女は勇を見ると、微笑んで柱から背を離す。

「お話、終わった?」

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