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驚いて呆然とした勇は、声を掛けられて我に返った。

「お前、何をやってるんだ?」

「勇、待ってたの」

ひかりは当然のようにそう答える。

「待ってたって……」

ひかりが勇と教室で別れてから流れた時間は短くはない。

それなのに何故、ずっと此処で待っていたのだろう。

そこまで考えて、勇は息を吐いた。

この娘の考えている事は、頭で理解しようとしても無理な事が多い。

これもきっとそうなのだろう。

そう思って再び歩き出した勇の横に、ちょこんとひかりが並んで来る。

「学校って楽しい所だね。私、お友達も出来たんだよ」

「そうか。それは良かったな」

「うん」

ひかりはそれきり何も言わず、黙って付いて来た。

少し経ってから、勇が口を開く。

「おい、何処まで付いて来る気だ」

もう既にアパートに向かう曲がり角は通り過ぎ、ガソリンスタンドに近付いていた。

するとひかりは当然のように返した。

「だって、私もこっちだから」

「……は?」





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