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思いがけない答えに勇が言葉を無くして見返した時、隼が笑顔で近付いて来た。
「二人熱烈に見詰め合って何やってるのかな?」
「変な事を言うな!」
「やー、でもさ。こんな可愛い娘が『お兄ちゃん』なんて言って来たら、幾らクールな勇だって萌えずにはいられないよねー。可愛い妹、羨ましいよ」
「ならお前に熨斗付けてくれてやる」
その勇の言葉に本音を嗅ぎ取ったのか、ひかりが隣で腰に手を当てて言い出した。
「そんな言い方、あんまりだよ。毎日毎日、大好きなお兄ちゃんの為に、ご飯を作ったりお掃除したりしてるのに。お兄ちゃんにとっては、私はただのお手伝いさんなの?」
「うわー、勇ひどーい。男として、と言うか人間として最低だよ」
「大嶋さんも、そう思う?」
「うんうん、分かるよ。ひかりちゃん、僕はいつでも相談に乗るからね!」
こう言われると、何だか自分が極悪人のような気がしてくる。
この訳の分からぬ罪悪感は何なのだろう。
「お前ら、いつからグルになりやがった?」
ひかりはそう言った勇の後ろに回って背中を押した。
「まあまあ。ほら、楽しいお仕事お仕事!」
「早くしないと店長に怒られちゃうからねえ」
(ああ、何でこんな事になったんだ?)
外に出て帽子を被りながら、勇は深く溜息をついた。
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Reservoir Amulet