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息をついて窓から外を見る。

ぽつぽつと、小さな水滴が窓に付き始めていた。

雨の匂いが鼻につく。

思わず窓辺に歩み寄り、ガラスに手を当てる。

雨の日特有の静けさが、街を包み込もうとしていた。

雨は、ガラスを微かに揺らす程の強さで降り続く。

みるみる窓の水滴の量は多くなって行く。

「『空の色は何色 真昼の深い青色………』」

ひかりの口ずさんだ歌は、雨に掻き消されそうな小ささだった。

それはまるで、祈りのように。

その時、不意に玄関のチャイムが鳴った。

ひかりは顔を上げ、慌てて玄関へと向かう。

「はーい」

「すみませんねえ、急に雨に降られちゃって……。おや」

雨は降る。

全てを包み込むような静けさで。





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Reservoir Amulet