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「どうぞ」

少女がコーヒーを運んで来て誠の前に置く。

礼を述べてカップを手に取ると、少女は誠の正面に座った。

少し躊躇ってから尋ねる。

「あの、貴女は?」

「私は夕村ひかり。倒れていたところを、勇に助けてもらって」

ひかりと名乗った少女は目を伏せて続ける。

「私、あの人と自分の名前以外の事は何も覚えていなくて……。だから、一緒に住まわせてもらっているんです」

口の中のコーヒーが、急に苦くなったような気がした。

「そうですか……。すみません、辛い事を話させてしまって」

すると、ひかりは慌てて首を振った。

「いえ、全然大丈夫です。勇が一緒にいてくれますから」

そう言ってまた、あの見ているだけでこちらの胸まで暖かくなるような微笑を浮かべる。

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