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「でも、勇は何も話してくれないし。多分、これからも……」
何も言わないだろう。
その胸にある願いや思いを。
誠はしばらく驚いたようにひかりを見ていたが、やがて微笑んだ。
「そうですね……。私からは何も言わないでおきましょう。いつか、勇自身の口から貴女に語るでしょうから」
「そんな時が来ますか?私なんて記憶が無い、疑わしいだけの存在だと思いますけど」
きっと来る。
何故かはっきりと分かった。
「きっと来ますよ。その内容が何であれ、貴女は受け止めて下さるでしょう?」
そう尋ねると、ひかりは迷わず頷いた。
「はい。勿論です」
それがあの人の支えに、ほんの少しでもなるのなら。
「……有り難うございます」
施設でも一人でいる事の多かった勇が、このひかりという少女と一緒にいる理由が。
この時、少しだけ分かったような気がした。
実際に勇に会って、益々思った。
ひかりは、何故か人の心を暖かくする。
他にも要素は幾らもあるだろう。
しかし、ひかりの存在もとても大きなものに違いない。
そうでなければ、この変化は有り得ないだろうから。
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Reservoir Amulet