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雨の音は、時々胸の奥に深く深く沈み込むから。

恐ろしい程に。

「……先生」

しばらく黙っていた勇が、思い切ったように口を開く。

「何だい?」

「もしかして、俺に……」

勇はそこで言葉を止めると、やがて首を振った。

「いや、何でもない」

誠は静かでいて何処か影を落とす勇の横顔を見て、落ち着いた声で言った。

「いいんじゃないのかな、たまには人に頼っても。時には痛みを分け合っても。その上で尚、勇の側にいたいと願ってくれる人は、必ずいる筈だよ」

かつて勇にさり気無く様々な教えを与えたのと、同じ声音だった。

その教えは今もまだ、胸に残っている。

そしてその教えが正しい事も分かっている。

そんな人が、いてくれたら。

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