08
「……ええと。つまりエンデュミオさん、とお呼びして良いんでしょうか」
「ああ」
頷いた後、その表情には苦しみが混ざった。
「私のせいで貴女に辛い思いをさせて、申し訳無い」
そう詫びてから、更に続ける。
「そして貴女には、これからもっと辛い役目を頼む事になる」
「え?」
見返したセレネの前に、銀色に光る短剣が差し出された。
「これで私を殺してほしい。貴女の見た、吸血鬼を」
何と返せば良いのか分からなかった。
真剣な瞳を見詰めたまま、息をする事すら忘れて立ち尽くす。
「……私が、あの人を?」
やがて口から出て来た声は、力無く震えて弱々しかった。
その様子を見て、エンデュミオは静かに語り出す。
「セレネ。私は人の血を啜りながら、果てしない時を生きた。生まれ落ちた理由も生きる意味も、長い時の螺旋に飲まれてとうに消えた」
淡々と話す深い声。
そこに在るのは、底の見えない深い哀しみ。
「日が昇れば、体は勝手に眠りにつく。そして夜になれば、血に飢えて命を奪う。高過ぎる治癒能力を持つ故に、自ら死ぬ事も出来ない」
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Reservoir Amulet