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「狂ってしまう前に、これ以上誰かを殺める前に、終わりにしたい。勝手な願いだが、私は貴女に頼みたい」

まだ目の前に差し出されたままの、銀の短剣。

その輝きを見ながら、口を開く。

「それで、本当にエンデュミオさんは……救われるんですね?」

「ああ。貴女にしか与えられない救いだ。優しい歌を紡ぐ旅の歌人にしか。それに、これは約束出来る。別れも最期も決して終焉ではないという事。そうでなければ、私も此処にはいないという事は」

彼の話す事を全て理解出来た訳ではない。

その気持ちを全て理解するなど無理だ。

ほんの一時を共に過ごしただけの自分には。

それでも、例えほんの僅かだとしても。

分かる事もあるから。

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