11
セレネは手を伸ばし、エンデュミオから短剣を受け取った。
その重みと冷たさを確かめながら、決意を込めて言う。
「私……エンデュミオさんを、救いたいです」
身に過ぎた願いだろうか。
小さな自分が彼の為に出来る事など、無いに等しいというのに。
見詰めていた真紅の瞳がふっと和らぎ、深い声が響く。
「有り難う。どうか迷わずに、その剣で私を貫いてくれ」
言葉と共に、微笑みが遠くなる。
黒いだけの空間に風が起きる。
淡い光が射し込み、霧が頬を撫でる。
役目を果たすべき場所へと、意識が戻って行く。
それは悲劇へ繋がるのか、幸せへ繋がるのか。
- 31 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet