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それまで黙っていた悠也が、完全に状況を楽しんでいる様子で口を開いた。

「俺は繊細だから無理だって。至聖ならそう言うかもしれないけどな。全く、先が思いやられるぜ」

「さあ、そろそろ仕事を始めたまえ。第一支部と違ってこちらは予算不足だ。働きで認めさせて予算を上げてもらうのが肝心だからね」

「分かってますって、冴凪さん」

気持ちを切り替えるように明るく言って、燎が立ち上がる。

「ほら、悠也。始めるぞ」

「うん」

二人が慌ただしく動き出した中で、卓は唇の端を僅かに上げた。

「……役者は揃った。これからが勝負だな」

その呟きは、本人だけにしか聞こえない程に低く空気を震わせて消えた。





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