06
切り札。
そう表現された、これから同僚となる三人の事は話に聞いている。
その内容を思い出しながら足を進めていると、一階にあるドアが閉じたのが見えた。
「ふむ。丁度全員揃った位か」
時計を見た卓は、真宵の方に目を向けて告げた。
「では皆に紹介しよう。呼んだら入って来てくれ」
「分かりました」
ドアを開けて中に入って行った卓を見送り、側にある階段に自分の荷物を置いた。
小さなボストンバッグ一つに纏められた荷物は、必要最低限の物だけだ。
ほとんど身一つで此処に来た。
何もかもを捨てる覚悟で。
そして、いつか此処を出て行く時が来るとしたら。
何か、変化はあるのだろうか。
取り留めも無くそんな事を考えていると、卓が呼ぶ声がした。
軍服の襟を正し、背筋を伸ばして歩き出す。
部屋に入ると、まず真っ先に目に入った人物がいた。
「女性だなんて聞いていませんでしたから。冴凪さんも、人が悪いなあ」
そう言って笑った青年。
ああ、確かに似ている。
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Reservoir Amulet