07
哀しくなる程に。
けれども、違う。
痛みと諦めを知る瞳は、あの人には無かった。
だからこそ、これ以上は。
「五十嵐至聖です。これから宜しく、華原さん」
差し出された手を握り返し、息を吸い込んで告げる。
「最初に申し上げておきますが、私、貴方みたいなちゃらちゃらした人は大っ嫌いですから」
こんな言葉を、誰かに投げ付けるのは初めてだった。
これ位言っておけば、きっと近付いては来ないだろう。
嫌ってくれればいい。
嫌な奴と思って、距離を置いてくれれば。
それなのに、彼は笑った。
「そんなにちゃらちゃらしてるかな、俺」
胸が痛い。
謝って親しくなれたら、その方がいいのだろう。
けれども、もう後戻りは出来ない。
したくない。
こうなる事は、分かっていたのだから。
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Reservoir Amulet