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ゆっくりと伸ばした手を、目の前の壁に当てて呟く。

「……もう、終わった事ですから」

そう、全ては終わった。

たった一言で、あの頃へは戻れないと。

だから今、此処にいる。

「それに貴方だって、私のことを心配している場合ではないのでは?」

至聖が軍に入っている時点で、その目的は訊かなくても分かる。

それを思えば、自分の心情なんて些細な問題だ。

「うーん。まあ、そうかもしれないけど」

見えない向こうで、至聖が苦笑したのが分かった。

「でも、いつかはこうなるって分かっていたから。それにさ、どっちが本物かどうか分からないなら、戦って残った方にすればいい。多分、至高も同じ考えだよ」

「……どうしても戦わなければならないんですか?一緒に生きる事は出来ないんですか?」

甘い意見と知りながら、それでも諦め切れずに尋ねる。

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