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そう思った至聖が目を閉じた時、誰かが隣に立つ気配がした。

「あれから、ずっと考えていました」

続いて聞こえて来た声に、信じられない気持ちで自分の横を見る。

至聖の隣に立った真宵は、凛とした顔で前を見据えている。

その視線の先には、至高がいた。

「どうしてあの時、貴方があんな事を言ったのかと。きっと意味がある筈だと。そこまで分かっていたのにもう一度会いたいと思ってしまったのは、私が弱かったからです。弱かったから、ずっと過ぎた想い出に縋っていた。だけど、もう終わりにしなくてはなりません」

「華原さん……」

思わず名を呼んだ至聖に一瞬目を向けてから、真宵は更に続ける。

「私はもう、自分の意志で此処にいるんです。貴方もきっと、そうでしょう」

かつての恋人に、そして自分自身に言い聞かせるように。

揺らがない声は響く。

「もう終わったのですよね。私達の、あの日々は」

二人の、あの恋は。

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