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「だから私は、これから姿を消します。真実を探る為に」

「……恋人は?彼女も置いて行くつもりなのか」

「ああ、とうに別れましたよ」

まるで何でも無い事のように淡々と返された内容に、思わず息を飲む。

あんなに幸せそうだったのに。

何でも無い事の筈はない。

それ程までに覚悟を決めているのか。

己の幸福を切り捨てる程に。

まだ何処か信じられないまま、至高の住むマンションへと向かった。

その部屋の近くまで来て、思わず足を止める。

人気の無い、引き払われたと分かるドアの前に佇む女性の姿。

すぐに分かった。

以前見た、至高と寄り添い歩いていた女性だと。

華奢な体も大きな瞳に色白の人形を思わせる面差しも、記憶のままだったから。

ただ違うのは、腰まであった長い髪が今は肩の辺りまでしか無い事。

そして、その顔に浮かぶ表情だった。

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