05


幸せそうな笑顔は消え、代わりに浮かぶのは苦しげな表情。

一筋頬を伝う涙。

それを見た時、至高と同時に彼女もまた彼を想っているのだと分かった。

ああ、あんなに幸せそうだったのに。

二人の幸せな時は、もう終わってしまったのだろうか。

もしも、自分だったら。

ふと胸に浮かんだ考えに、はっと顔を上げる。

もしも彼女に出会ったのが自分だったら。

絶対に、泣かせたりしないのに。

もしも彼女が自分の隣で、あんな風に笑ってくれるなら。

あの微笑みを、決して無くしたり出来ないのに。

もしも彼女が、自分の恋人だったなら。

そこまで考えて、思わず自嘲の笑みを浮かべる。

今更何を思ったところで、どうしようもないのに。

最初から彼女は手の届かないところにいて。

既に至高のものだったのに。

分かっていながら、どうして。

深く息をついて、目を閉じる。

どうして、惹かれてしまったのだろう。

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