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偽者ならば、いずれ消え去るだろう。

音も無く、跡形も無く。

そして、嘆く者もおらず。

そんな終わりを迎えるならば、忘れられない女性という想い出があるだけでも幸せではないだろうか。

恋という感情を知っただけでも、身に過ぎた幸いではないだろうか。

自分自身にそう言い聞かせながら生きていたのに。

「……宜しくお願いします」

ある日突然に、彼女は目の前に現れた。

軍服に身を包み、かつての柔らかな微笑みを消して。

思いがけず、現れたのだ。

「私、貴方みたいなちゃらちゃらした人は大っ嫌いですから」

最初にそう言われた時には驚いたが、すぐに分かった。

彼女がわざときつい態度をとっているという事。

その証拠に、思いがけないところで細やかな優しさをくれた。

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