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他には誰もいない小さな公園。

外灯の下にある小さなベンチに腰掛けて語らう夜更け。

不意に隣から、呆れたような溜息が聞こえた。

「……奇跡って、言い過ぎだと思いますけど」

「俺にとってはそうだったんだよ」

淡く燃え上がる想いだけは秘めたままで話して来たから、真宵が不思議に思うのも無理は無いかもしれないが。

「それにしても私、貴方に随分情けないところを見せてしまっていたんですね」

「そんな事無いよ。泣いてる君も綺麗だったし」 

至聖はさらりと続ける。

「あんな風に泣ける人は、そうはいないよ」

毅然とした頬を伝う涙。

羨ましく思う程、美しい涙。

もしも自分が、あんな風に泣けるなら。

それは悲しみの涙だろうか、それとも。

答えはきっと、いつまでも見付からないけれど。

だから、どうか彼女には。

「今度は、歓びの涙を流せたらいいね」

心から、願う。

彼女には、溢れる程の歓びを。

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