09
他には誰もいない小さな公園。
外灯の下にある小さなベンチに腰掛けて語らう夜更け。
不意に隣から、呆れたような溜息が聞こえた。
「……奇跡って、言い過ぎだと思いますけど」
「俺にとってはそうだったんだよ」
淡く燃え上がる想いだけは秘めたままで話して来たから、真宵が不思議に思うのも無理は無いかもしれないが。
「それにしても私、貴方に随分情けないところを見せてしまっていたんですね」
「そんな事無いよ。泣いてる君も綺麗だったし」
至聖はさらりと続ける。
「あんな風に泣ける人は、そうはいないよ」
毅然とした頬を伝う涙。
羨ましく思う程、美しい涙。
もしも自分が、あんな風に泣けるなら。
それは悲しみの涙だろうか、それとも。
答えはきっと、いつまでも見付からないけれど。
だから、どうか彼女には。
「今度は、歓びの涙を流せたらいいね」
心から、願う。
彼女には、溢れる程の歓びを。
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Reservoir Amulet