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人の感情は目に見えなくて、時に脆くて。

疑い出せば、止まらないのに。

それでもひたすらに真っ直ぐな優しさは。

胸に迫って、少しずつ。

「……華原さん、どうかした?」

「いえ、何でも」

「だけど、泣いてるよ」

「え……?」

至聖に言われて初めて、自分が泣いている事に気付いた。

「ごめん、俺が変な事言ったから……」

「違います」

慌てた様子でハンカチを差し出した至聖に首を振る。

「ただ、思い知っただけです」

自分の弱さと小ささを。

そして同時に、もう一つ大切なものを。

ゆっくりと手を伸ばし、ハンカチを持つ至聖の手に重ねる。

「……有り難うございます」

幸せだと思う。

こんなに大きくて優しい人が、すぐ側にいてくれる事は。

思い知って、改めて知って。

変わって行くのだろうか。

少しずつでも、臆病な心ごと。

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