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「帰りましょう、五十嵐さん」

立ち上がり、至聖に向かって微笑む。

「もう、一緒に帰ってもいいんですよね?」

「……うん、そうだね」

どちらからともなく手を繋いで歩き出す。

もう言葉は無くて。

けれど不思議な程に穏やかで心安らぐ空気が流れていた。

しばらく離れていたから、一緒に帰れるだけで特別に思える。 

足音だけが響く中、眩しい朝焼けが二人を包み込む。

至聖は目を細めて隣の真宵を見た。

降り注ぐ光を、心優しい女性の横顔を。

美しいと思う感情は、本物だろうか。

真宵は以前に言った。

『感動出来るなら、戦う必要もありませんね。それなら、もう人と同じでしょう』

本当に彼女は、いつも歓びを与えてくれる。

それを自覚していないところが、何処までも優しい証だ。

もう偽物だからと逃げに走ったりはしない。

そんな事はどうでもいいと、そう言ってくれる仲間達が自分にはいるのだから。

生きて行く限り、存在している限り。

強くなって、守りたい。

守り抜きたい。

大切な人を、この温もりを。





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