09


向き合うのは自分の影と、そして。

唇を噛み、銃の引き金を引く。

例え何度経験しようと、慣れはしない。

慣れたくなどない。

自分の家族の姿をしたモノを、この手で殺すなんて。

学生だった頃、アースに入る前。

母親の姿を模したモノを、自分は殺した。

向けられた歪んだ笑み、冷たい感触。

その全ては、まだ鮮明で。

「……どうして、こんな事に」

呟く声は、誰に向けられたのでもなくて。

ただ、もう還らないものを悼むために生まれただけで。

助けられなかった、何も出来なかった。

いつも声に出さない後悔を、父親の姿をしていたモノに向けて。

「ごめん、父さん。俺はもう、大丈夫だから」

暗い天井を見上げ、溜息と共に続ける。

「心配しないで、眠っていてくれ」

どろりと溶け出す、生温かい液体のように。

過去は溶け出し、隠した傷を抉るけれど。

それでも、また明るい自分に戻りたいから。

きっと戻れると、信じられるから。

顔を上げて、進んで行こう。

燎は再び銃を構え、歩き出した。





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Reservoir Amulet