10
向き合うのは己の影と、そして悪夢。
決して消えない刻印。
自分の内に出来た、冷えた檻。
かつて自分の手で貫いたのは親友だった。
幼い頃からいつも一緒に遊んだ、一番の友達。
その異変に気付いたのは、いつだっただろう。
一度違うと思ってしまえば、その違和感は拭えなくて。
会う程に、積もって。
とうとう尋ねた。
一体誰なのかと。
その時に返された狂った笑みと乾いた言葉に、我を忘れた。
怒りや憎しみなんて言葉では表現出来ない極地へ、一瞬にして到達してしまったのだ。
そこは己の感情さえ分からない、空虚な暗闇で。
後に残ったのは手にした刃物の重さと、それを振るった時の感触。
乱れた呼吸の中、どろりと溶け出すモノ。
もう後戻りは出来ない。
何が起きているか起こったのか起こしたのか。
分からないままに立ちすくんだあの日から。
少しだけ時は流れ、確かに変わったものがある。
だからもう。
静かに銃を構え、撃つ。
「さよなら。でも、忘れないから」
絶対に忘れないで、全てをから抱えたまま進むから。
「僕は生きるよ。それが」
崩れ出す友の姿に背を向けながら続ける。
「それが、僕に出来る精一杯だ」
精一杯の弔いだ。
悠也は自分に言い聞かせるように呟き、歩き出した。
- 161 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet