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新しく守りたいものを見付けたくて。
今もまだ、癒えない傷が不意に疼くけれど。
握った拳銃を、ゆっくりと相手に向ける。
「どんなに似せても、お前は彼女じゃない」
かつて愛した人と、同じ姿をしたモノへ。
銃口を向けて語り掛けるのは。
きっと相手にではなくて、自分自身に。
もう会えない大切な人に。
「人は感情を持つ、唯一無二の存在だ。故にそれが弱さとなり悲劇を生む事もある。だが、それでも」
乾いた銃声と共に崩れ落ちる相手を見ながら続ける。
「人は器だけの存在じゃない。だからこそ価値がある」
人は器だけじゃないからこそ。
感情が、想いがあるからこそ価値がある。
例え肉体が精神がいずれ朽ち果てようと。
内で強く強く抱き続ける想いは、死なない。
だから想い出を胸に。
「生きて行ける、これからも」
過去を受け止め、傷を負っても。
先へ行ける。
少しずつ、迷いながらも。
卓は銃を手に、足を踏み出した。
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Reservoir Amulet