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土煙の向こうに佇む姿。
あちこち服は破れて髪も乱れているが、その余裕のある表情は変わらない。
いつもと何も、変わらない。
「……至高。貴方だったのか」
震える声を押し隠すように、低い声で至聖が言った。
「そうですよ。今頃気付くとは、君も存外鈍いですね。或いは臆病なのか」
「いつから、自分がモナダだと……」
「物心ついてすぐ気付きましたよ。至聖、君も少し考えれば分かったでしょうに。君と私の、決定的な違いに」
もう遥か昔から分かっていたような、悟り切った口調。
別の視点から自分自身を見て来たかのような、達観しきった口調。
違う、そんな事を。
「今のこの状況と同じです。私はずっと一人でした。誰と話し交わっても、心から共に在る事は無かった。いつも虚しさを覚えていた」
淡々と紡がれる彼の語り。
その内に秘められた感情は、とても読み難い。
けれども叫びたい。
違う、そんな事を。
「私はずっと孤独でした。心の何処かに、いつも空虚さを抱えていた。私は何も変わらなかった。体が成長しても周りの状況が変わっても、私に変化は無かった」
次々に明かされる彼の事実。
その口調が静かだから、一層激しさを込めて。
叫びたくなる。
違う、そんな事を。
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Reservoir Amulet