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「人とは変化する生き物でしょう。歓びも哀しみも全てを受け止めながら、しなやかに強かに生きて行く。それが人でしょう。だから私は、自分が人間ではないと気付いた。その変化から一人取り残されている私こそ、異物なのだと」
「違う!そんな事を貴方が言うな!」
「……五十嵐さん」
隣に立つ真宵が気遣わしげに見詰めて来るのを感じながら、思いをぶつけるように叫ぶ。
「じゃあ、華原さんとの事はどうだったんだ!?あの頃の貴方は、俺から見てもとても幸せそうだったじゃないか!あんな顔をしていたのに、変化が無かったなんて言わせない」
例え、例え、始まりがどうだったとしても。
生まれた理由、価値を疑う事があるとしても。
それでも、そんな事を言わせたくない。
「貴方のこれまでの年月を、意味が無かったなんて言わせない。貴方はこの地で生きている。色んな人と出会って触れ合って、今此処にいる。貴方がいたから、変わった事だってあるんだ。それなのに、変化が無かったなんて言わせない」
積み重ねて来た年月。
その間に折り重なった、様々な想い。
その全てに意味が無かったなんて。
そんな虚しく哀しい事を、言わせたくない。
人はただ、そこにいて。
生きている、それだけで。
何らかの影響を、誰かに世界に与える。
そんな存在なのだから。
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Reservoir Amulet