23
「……有り難う、至聖」
「……っ」
不意に向けられた言葉と微笑みに、思わず息を飲む。
笑顔に隠した根底に沈んだ、どうしようもない諦め。
何を言われても動かない、蓄積された感情。
ああ、その苦い味を。
自分もよく知っている。
「確かに君の言う通りだったかもしれない。確かに私の過ごした一時は」
至高は一瞬だけ真宵の方を見て、そして言葉を切った。
それから調子を変えて言う。
「どうであれ、もう過ぎた事です。君も、もう分かっているでしょう。私はもう戻れないと」
閃光が走る。
それをかわして、至聖は唇を噛み締めた。
本当に、もう戻れないのか。
どうしようもないのか。
このまま、滅びを望む彼の意志のままに。
- 174 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet