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「信じられないかもしれませんが、好きだった人が変わってしまったんです。見た目は同じなのに、心はまるで別人のように。何者かが、あの人に成り代わったのではないかと思う位に」
「……っ」
思わず息を飲む。
まるで既に何か知っているのではないかと思う程、娘の口調には揺らぎが無い。
「同じ事が他にも起きているのではないかと。もしそうなら、この星はいずれ他のモノが支配するのではないかと。そして人は滅びるのではないかと」
もう成り代わりは進み、モナダの侵略は始まっている。
そして自分がその内の一体である事も承知している。
けれどモナダの事実は、まだ広くは知られていない。
モナダについて知るのは、政府の上にいるほんの一部だけだ。
そう思い直し、いつもの様子で言う。
「考え過ぎでしょう。貴女の大切な人のことはお気の毒と思いますが、人間はそう簡単には滅びたりしませんよ。これだけ繁栄したのです。仮に滅ぶとしても人間ならば生き残るでしょう」
「何故そう言えるのですか?滅ぶ人の中に、自分の大切な人がいるかもしれませんよ」
娘は挑むような眼差しでこちらを見た。
その輝きに、どうしてか目を奪われる。
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Reservoir Amulet