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「貴方は知っているでしょう。私はきっと普通の死に方はしないと思っているんです。それなのに、どうしてそんな事を言うんですか」

「普通の死に方をしないのは、僕も同じだろうと思ったので」

「……貴方も変わっていますね、本当に」

「有り難うございます」

微笑んで応じると、真宵は観念したように溜息をついた。

「貴方みたいな人を好きになったら大変だって分かっているのに抗えないんですから、私も人のことは言えないですね」

「え……」

少し遠回しな言葉を理解するまで、数秒掛かった。

「それはつまり、貴女も僕を好きという事ですか」

「まあ、そういう事になります」

僅かに染まった頬のまま返された途端、何とも言えない感覚が体中を駆け巡った。

高鳴り痺れるようなそれは、歓びに最も近いのかもしれない。

ああこれが、恋をするという事なのか。

初めて、その歓びと切なさを知った。

それが、彼女と恋人同士になった瞬間の想い出。





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