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「あ、ええと。ごめんね、華原さん。何か変な事になっちゃって」

「……言い出したのは貴方でしたね」

恨みがましい目を向けられたが、至聖は少しも悪びれずに爽やかに笑う。

「ごめんね。でも折角だから楽しんでよ」

「私は、自分の仕事はきちんと果たすつもりです。ですが、馴れ合うつもりはありません。特に貴方とは」

「うん、分かってる。でも折角来たんだし、君には笑ってほしいな。これから大変になるなら、尚更」

その言葉に、返事は無かった。

真宵はもう整った横顔だけを見せて、手際良く書類を分類し確認する作業に入っている。

打ち解けられる時までは、まだまだ長そうだ。

果たしてそんな時が来るかも分からない。

けれど、先程言った事は本当だ。

笑ってほしい。

今は遠くても、いつか笑顔を見たい。

絶対に可愛いと、確信出来るから。





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