09
「いなくならないで下さいね。貴方は、私の側から」
側にいてほしい。
一人で全てを隠して背負って、いなくなってしまわないで。
「大丈夫。俺はいなくならないよ」
そっと抱き締め返してくれる温もりが、ただ優しい。
自分でも知らない間に付いていた傷さえ、隠してくれるように。
「ずっと側にいるよ。君が望んでくれる限り」
今はまだ、お互いに。
通り過ぎて来た記憶の痛みが強くて。
全て優しい想い出になるには遠くて。
二人の関係が変わって行くのも先かもしれないけれど。
それでも慰め合いながら、少しずつ少しずつ。
暖かな太陽の下、ほんの一瞬かすめるだけの口付けを交わす。
まだ恋に怯える心を知っているから、今はただ。
その心に優しく寄り添えたなら。
「生きて行こう。俺達は、俺達の生を」
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Reservoir Amulet