22
最初の乾杯の時の一杯しか飲んでいないグラスは、もう空になっている。
「ああ、有り難う。でも、俺はいいんだ。生憎、酒は苦手で」
「……そうですか」
真宵はそれだけ言うと、さっさと背を向けた。
立ち去る後ろ姿を見詰め、何となく残念に思う。
(失敗したかな。注いでもらえば良かった)
声を掛けられたのに驚いて、咄嗟に断ってしまうとは情けない。
悔やんでいると、しばらくして再び真宵が近付いて来た。
今度は大き目のグラスを持っている。
「どうぞ」
「え……。華原さん?」
差し出されたグラスを見ていると、真宵は淡々と続ける。
「オレンジジュースです。これなら飲めるでしょう?」
「…………」
言葉を失う。
- 22 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet