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「あら、何?貴方、意外と純情で可愛いのね」

「……見た目程ちゃらちゃらしてないんですよ、俺」

至聖は何とか平静さを取り戻し、ちらりと隣に視線を送る。

表には出していないが、真宵がむっとしているのは分かった。

そんな様子には全く気付いていない里沙は、親しげに真宵に話し掛ける。

「そして、貴女が華原真宵ちゃんね。どう?男所帯で苦労してない?」

「あ、はい。大丈夫です」

「それなら良かったわ。何しろ貴女の為にわざわざ女性用軍服がデザインされたんだから。すぐに辞められちゃったら寂しいじゃない」

「え……。この服、華原さんの為にデザインされたんですか?」

至聖は目を見張って聞き返した。

「ええ、そうよ。じゃなきゃ、こんなミニスカートの可愛い服にはしないわよ。私の時には作ってくれなかったのに、ひどいわよねえ」

不満そうにしてみせながらも、こだわりは無いように笑って続ける。

「まあ、私はこれで慣れちゃったから、良いんだけどね。さ、こっちへ来て」

里沙の後に付いて歩き出しながら、至聖は小声で言った。

「とにかく此処で、これまでの情報を確かめないと」

「ええ。可能な限り目で確かめて来るようにとの指示ですから」

目で確かめてみなくては、実際には分からない。

この冗談のような状況も、自分の身に降り掛かってみなくては信じられないのが普通だろう。

そして、降り掛かってからではもう遅い。





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