10


「五十嵐さん?」

名を呼ばれて我に返ると、真宵が探るような目を向けていた。

「何か気になる事でも?」

「ああ、ううん。そういう訳じゃないんだ」

「……そうですか」

気を遣ったのか興味が無いのか、真宵はそれ以上の追求はしなかった。

そして、黙ったまま至聖の鞄を差し出して来る。

「今から出掛けるつもりかい?」

受け取りながら尋ねると、当然というように頷く。

「ええ。準備を急ぐと話があったばかりでしょう」

「俺は構わないんだけどさ。華原さん、疲れてない?」

「まだ平気です。いつも働いている時間ですから」

「なら、いいんだ。行こうか」

このまま進み、真実を見付けたなら。

そうしたらきっと、こんな時間も終わる。

終わりの時に、君はどんな顔をするのだろう。

いつも胸を占める心のまま、躊躇わず。

飛び立てば良い、何処へでも。





- 71 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet