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「五十嵐さん?」
名を呼ばれて我に返ると、真宵が探るような目を向けていた。
「何か気になる事でも?」
「ああ、ううん。そういう訳じゃないんだ」
「……そうですか」
気を遣ったのか興味が無いのか、真宵はそれ以上の追求はしなかった。
そして、黙ったまま至聖の鞄を差し出して来る。
「今から出掛けるつもりかい?」
受け取りながら尋ねると、当然というように頷く。
「ええ。準備を急ぐと話があったばかりでしょう」
「俺は構わないんだけどさ。華原さん、疲れてない?」
「まだ平気です。いつも働いている時間ですから」
「なら、いいんだ。行こうか」
このまま進み、真実を見付けたなら。
そうしたらきっと、こんな時間も終わる。
終わりの時に、君はどんな顔をするのだろう。
いつも胸を占める心のまま、躊躇わず。
飛び立てば良い、何処へでも。
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Reservoir Amulet