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以前来た時と同じように、資料室を訪れる。

最初にそれぞれが見たい資料を集めて積み上げると、立派な壁が築かれた。

「こちら側へは来ないで下さい。御用の際には声を掛けて下さい」

真宵はそう言い渡すと、さっさと築いた壁の向こうへ行ってしまった。

手錠の鎖を通す為の隙間は開けてあるが、腰を下ろせば完全に互いの姿が隠れてしまう。

どんなに近くにいても、必要以上には決して踏み入らせない。

真宵の心の壁のようだと、至聖は手近なファイルを引き寄せながら思った。

自分が記憶している情報と、目の前のデータを照らし合わせながら息をつく。

こういう静けさの中でいつも思い出すのは、風に揺れる長い髪。

煌めく一筋の光。

一瞬にして焼き付いた、意志の強い眼差し。

叶う筈は無いと、最初から分かっていた恋。

もう止めてしまえば、楽になれるのに。

どんなに苦しくても、忘れられない。

綺麗なだけじゃいられない自分を、知ったから。

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