05
しばらくしてファイルを起き、壁の向こうへ呼び掛ける。
「華原さん」
少し待ったが、返事は無い。
「華原さん?」
腰を上げて覗き込むと、真宵は資料を広げたまま寝入っていた。
普段隙など見せないパートナーの思い掛けない姿に、思わず目を瞬く。
そして彼女の膝の上の資料を見て、ふっと息を洩らす。
無理もない。
きっと、いつも気を張り通しだったのだから。
身を乗り出し、そっと手を伸ばす。
艶やかに光る髪に触れる少し前で手を止め、小声で言う。
「……ごめん。俺は、君が思ってくれているような奴じゃないんだ」
そう在れたら、どんなに良いか。
願うように、思うけれど。
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Reservoir Amulet