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すると、それまで何も言わなかった真宵が鋭い声を出した。

「馬鹿な事を仰らないで下さい」

いつにも増して尖った視線を至聖に向けて言い放つ。

「全然違うでしょう。例えどんなに似ていても、例え始まりが同じだとしても、二十年以上も生きていれば別の人格です。何も判明していない内から自分自身を否定してどうします。臆病にも程がありますよ」

怒った言葉を残し、真宵はそのままラウンジを出て行った。

「あはは。相変わらず厳しいなー。華原さんは」

「俺は華原に賛成するぞ、至聖」

「僕も」

当然のように賛同した二人に至聖が目を見張ると、卓が満足そうに口の端を上げた。

「ちなみに私もだよ、五十嵐君。私は君の正体が判明したら殺す、そんな事の為に部下にした訳ではないからね」

「…………」

胸が熱くなるのを感じながらも、長い間の諦めはそう簡単には消えない。

どちらか一方が偽者ならば。

どちらかなんて、分かり切っている。





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