05


しばらく睨み合った後、息をついて手を放す。

「俺のことはまだ良い。だが、あんまり踏み込むと……消されるぞ」

「覚悟の上さ。そうしないと得られないものが、この都市にはあまりにも多過ぎる」

服を直しながら、海斗は鋭い瞳で続けた。

「だから俺は書くよ。真実の為にね」

「そうですか、君も……」

要が静かに口を開く。

「君も、この地で大切なものを奪われた一人なんですね」

「まあ、そうなるかな」

「……そうか。なら、取り引きしないか?」

「取り引き?」

いつまでも、こうしてはいられない。

心の何処かで分かっていた。

だから、この出会いを切っ掛けに。

「俺は俺の知る情報をお前に渡す。その代わり、お前も知っている事を教えて欲しい」

「情報交換か。悪くはないね」

「一応言っておきますが、僕も混ぜて下さいね。面倒くさい家に生まれた立場を、最大限に活用したいので」

動き出そう。

人知れず戦う人達に出会ったから。

過去の傷なら、後悔なら、抱いたまま。

閉ざされた箱の中でも、動き出そう。

少しでも、報いる為に。

願いを叶える為に。





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