一人よりも.10


「お帰りなさい」

夕闇が迫る頃に院から帰って来た要を、門の所でマイヤが迎えた。

「ただいま戻りました」

要は門をくぐりながら苦笑する。

「君もシズマも、ほとんど同時に学院から姿を消しましたからね。言い訳が大変なんですよ」

「何て言い訳してるんですか?」

「二人で駆け落ちしたと言っておきました」

「かっ、駆け落ち!?」

要は歩き出しながら笑顔で続ける。

「皆そういう事には理解を示してくれるから、深く詮索されないんです」

「は、はあ……」

「それで、僕に何か話でもあるんですか?」

そう問われ、マイヤは前を向いたまま真剣な声で言った。

「要さんには、このシードジェスという都市がどう見えているんだろうと思いまして」

少し黙った後、要が微笑んで呟く。

「似ていますね」

「え?」

「前にも一人、僕に同じ質問をした人がいましたよ」

「それって……」

目が合った要に、続けて答える。

「その時は、何て答えたんですか?」

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