一人よりも.11


「僕の立場から言わせてもらうと、かなり危ういですね」

「やはり、そうですか」

闇が落ちる中、真剣な視線がぶつかり合う。

「はい。頻発する地震に多発する事故、何かあればすぐに覆い隠そうとする都市庁。どれを取ってもいつ壊れてもおかしくない、危うい状態です」

「そうでしょうね。しかし、都市庁の横暴は必ず止めてみせます」

「……似ていますね。彼も同じ事を言いましたよ。同じように強い瞳で」

同じように強さをたたえた、揺るがない瞳で。

要は手を伸ばし、マイヤの頭に乗せた。

「あまり無理はしないで下さい」

「はい。有り難うございます」

その微笑みに、少し黙ってから続ける。

「以前の彼は、笑いませんでした。顔は笑っていても、心はいつも泣いているようで……。本当の笑顔を見せませんでした。でも春日舞夜として君が現れてから、少しずつ変わり始めたんです。ですから、彼にとっての希望は、君なのではないかと」

要は、先に屋敷の中に入りながら静かに言う。

「シズマの側に、いてあげて下さい」

「…………」

マイヤは何も言わずに立ち止まり、自分の胸に手を当てた。

目を伏せて、低く呟く。

「本当にそうだったら、良かったですね」

闇の中、一人佇んで祈るように。

届かない光を掴むように、手を伸ばして。

痛みを振り払う。

もう一度、強く在る為に。





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