波のざわめき.05


翌日、四人は空港へとやって来た。

観光客で賑わう中を歩いて階段を上がってドアを開けると、そこは打って変わって全く人気が無かった。

「この奥です」

立ち止まったマイヤが振り向いて告げると、要が目を見張る。

「この奥って、立ち入り禁止の看板がありますよ?」

「マイヤ、やっぱり……」

大体予想していたシズマが息をつく。

「大丈夫ですよ。バイトですから」

「し、しかし……」

「この都市の為だろ、堅い事言うなよ。見付かったって逃げりゃいいし」

「よいしょっと」

要の戸惑いを余所に、マイヤは慣れた様子でフェンスに付いているドアを開ける。

それから、真剣な表情で言った。

「心配でしたら、念の為にしゃがんで入りましょうか」

「……いえ、そういう問題では」

「こんな所でとんちをきかせるなよ」

「いいじゃん、可愛いし」

マイヤの後に続いて、三人もしゃがんで開いたドアの奥へと入った。

そして大きな機械やパイプの間を通り抜け、やがて開けた場所に出た。

シズマが辺りを見回して呟く。

「此処は、まさか……」

「はい。この都市の最深部からシードジェスエネルギーを送っているパイプです。それで、バイトというのはこの辺りのお掃除なんですが」

「掃除って、此処を全部ですか?」

「はい。とっても時給良いんですよ」

それを聞いた海斗は頬をかいて苦笑した。

「そりゃそうだろうね」

「それに時々、点検に来る都市庁の方達の興味深いお話をこっそり聞かせて頂いていますし」

マイヤがさらりと付け加えた言葉に、しばらくの間沈黙が降りた。

「マイヤさん……強者ですね」

「お前、四年前のあの時も、此処でバイトをしてるって言ってたよな」

「はい。あの頃は皆、私のことをただのバイトの小娘だと思っていましたから。全く警戒せずに機密レベルの話をしていたんですよ」

「だが、あまり深入りすると後戻り出来なくなる事もあるぞ。お前自身を危険に晒す事も」

「分かっています」

マイヤの瞳が鋭く強い光を放つ。

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