波のざわめき.08


「成程な」

シズマは腕組みをしながら続ける。

「シードジェスエネルギーは都市の中心部からパイプを通して送られている。中でもエネルギーを作り出す機械から伸びる主要パイプの内の一本が、これか」

その言葉にマイヤは頷き、自分の背よりも大きなパイプの側面に手を当てた。

「ええ。この都市の動力源を供給する大切なパイプです。でも、先日このパイプからシードジェスエネルギーが漏れ出していると都市庁の方が話しているのを聞きまして」

「……それは、大丈夫なのかい?」

「幸いまだ少量で、人が意識を失う程ではないそうですが、修理が中々はかどらないようですよ」

「これだけ内部に入り込んだ場所だと、修理に使える人材も限られるだろうしな」

マイヤが再び歩き出しながら続ける。

「どの程度か見てみないと分かりませんが、実験に使う量位は確保出来ると思います」

しばらく黙っていた要が、真剣な調子で言った。

「前から訊こうと思っていたんですが、シードジェスエネルギーとは一体何なんです?人体にも環境にも害の無いエネルギー。それが世間の認識ですが」

「でも要も知ってるように、実際には事故なんかが多発してるね。これまでの俺達の実験でも解析出来ない部分もあるし」

海斗の言葉に、マイヤは一瞬シズマと目を合わせる。

それからすぐに前を向いて口を開く。

「シードジェスエネルギーは、まだ試作段階だったんです」

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