揺らめく海の都市.13
それから二人で列車の中を調べ回ったが、不審な物は何も見付けられなかった。
それに外へ繋がるドアも窓も開かない。
「取り敢えずは救助を待つしか無いか」
ドアに背を預けて、鎮真が息をつく。
「そうですね。早く皆さんを病院へ連れて行かないと」
「春日はどうだ。体調に変化はあるか?」
「え?……大丈夫だと思います」
「無理するな。いきなりこんな事になって、疲れてるだろう。顔色が悪いぞ、座ってろ」
そう言われた舞夜は素直に隣に座り込み、同じようにドアにもたれた。
「あの先生、この霧、何なんでしょう。これが出て来た途端、皆意識が無くなったような気がするんですけど……」
「環境にも人体にも無害でこの都市を動かす要となっているエネルギー、シードジェス。それがこの数年無害ではなくなっている。それにより、都市の各所で事故が多発。その原因は、まだ開発途中だったシードジェスエネルギーを、都市庁が早まって使用した為である」
「え……?」
「って、月刊『Kiss Me』最新号に書いてあったぞ」
鎮真は中吊り広告を示して付け加える。
「は、はあ……」
「嘘くさいだろ?何しろ『Kiss Me』だからな。だが、全て嘘とも言い切れない。もし少しでも真実があるとするなら、都市庁も黙ってはいないだろうが」
「それって……」
舞夜が隣に立つ鎮真を見上げた時、外からドアを叩く音がした。
中に向かって呼び掛ける声も聞こえる。
「救助隊が来たみたいだな」
「ええ」
それきり二人が話す機会は無く、それぞれ乗客の救助を手伝った。
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