熱.09
もう一度、思い知ったから。
自分の汚さを。
本当の事は全て隠していなければ。
そうしなければ、哀しみを思い出させてしまうと分かっていたのに。
それでも側にいたくて。
いつか来るさよならが怖くて。
嘘を重ねて、罪を重ねて。
それでも。
『……とにかく、春日が無事ならいい』
『愚かと言われても、いつか大きな力が生まれるんだろ?なら、大丈夫さ』
『じゃあ、一緒に出掛けるか。たまには息抜きも必要だろ』
春日舞夜を演じていた間に過ごしていた時。
どうか私を信じないでいて。
そう思いながら、いつしか信じてほしくて。
あの人に希望を。
今も、あの頃と同じ寂しい瞳のあの人の幸福を祈りたくて。
側にいる事が、こんなにも幸せで。
許される筈も無いのに。
自分はあの人を傷付ける事しか出来ないのに。
ただ側にいる事があんなにも幸せで、満たされて。
だから、いつか来る別れが怖くて。
『宜しくな、マイヤ』
彷徨い続けていた自分に、此処にいる事は許されるのだろうか。
繋いだ指を離したくないと思っても、良いのだろうか。
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Reservoir Amulet