熱.10
「大丈夫か?」
気が付くと、シズマの微笑が見えた。
「シズマさん……」
本当に、ずっと側にいてくれたのか。
離れないよう、手を握ったまま。
いつもこうして優しさを貰ってばかりだ。
自分も何か返せたら良いのに。
「気分はどうだ?さっきより顔色は良いみたいだが」
「かなり楽になりました。もう大丈夫です」
体を起こそうとすると、シズマに止められた。
「まだ寝てろ」
毛布を掛け直してくれながら続ける。
「要と海斗が帰って来るまでには、まだ時間があるからな。もう少し、このままで良いだろ」
「はい。とても温かいです」
「……そうだな」
まだ、手を繋ぎ合ったまま。
この温もりから感じる切なさを、証にしたいから。
これから先も強く立ち続けている為の。
どんなに強がっても、弱さを隠していても。
進めないから、寂しさに満たされたままでは。
だからせめて体温を分け合って。
まだ遠い安らぎの為に。
いつか来る筈の、安らぎの為に。
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Reservoir Amulet