箱船.7
二人が立ち去ってからしばらくして、都市庁の職員が数人やって来た。
「シズマ・ジェイ・ルシード、その女がマイヤ・セレイン・ジェスだな?」
「ああ。あんたらが欲しがってた人材だ。これで都市庁も安泰だな」
「一度出て行った奴を信じるつもりは無いがな」
その言葉に、シズマが笑みを浮かべて言う。
「しかし、俺が協力しなければ彼女がこちら側に来る事は無かっただろうな。それに、見たところ都市庁の統制はかなり乱れているだろう?」
「何?」
「いや、何でもないさ」
向けられた怒りをさらりと流して、シズマは歩き出す。
「さあ、行くぞ。のんびりしている時間は無いからな」
それは独り言なのか、未だ腕を掴んだままのマイヤに向けられたものなのか。
分からないけれど、今はただ。
何も言わないまま、手を振り払わずに。
進もう、この先へ。
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Reservoir Amulet