箱船.7


二人が立ち去ってからしばらくして、都市庁の職員が数人やって来た。

「シズマ・ジェイ・ルシード、その女がマイヤ・セレイン・ジェスだな?」

「ああ。あんたらが欲しがってた人材だ。これで都市庁も安泰だな」

「一度出て行った奴を信じるつもりは無いがな」

その言葉に、シズマが笑みを浮かべて言う。

「しかし、俺が協力しなければ彼女がこちら側に来る事は無かっただろうな。それに、見たところ都市庁の統制はかなり乱れているだろう?」

「何?」

「いや、何でもないさ」

向けられた怒りをさらりと流して、シズマは歩き出す。

「さあ、行くぞ。のんびりしている時間は無いからな」

それは独り言なのか、未だ腕を掴んだままのマイヤに向けられたものなのか。

分からないけれど、今はただ。

何も言わないまま、手を振り払わずに。

進もう、この先へ。








- 156 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む

表紙へ

ページ:



Reservoir Amulet