揺らめく海の都市.16
舞夜は黙ったまま、しばらく一層激しい質問を受ける二人を見ていたが、やがて背を向けて立ち去ろうとした。
たかれるフラッシュの中、ふと秘書官がその姿を見る。
長官も視線を追うように、舞夜へ目を向けた。
「おい、君!」
「は、私ですか?」
いきなり声を掛けられて振り向くと、長官がこちらを見ていた。
自然に報道陣の注目も集まる事になる。
突然の事態に困惑しながらも口を開く。
「あの、何か?」
「何故急に立ち去ろうとしたんだね。何か後ろめたい事でもあったのではないか」
「は、はい?」
長官の唐突な言葉に、一瞬絶句してから答える。
「何を仰っているのですか。まだ調査中の事故の原因を、被害に遭った高校生に押し付けるおつもりですか。都市庁長官ともあられる方にしては、見苦しいお振る舞いですね」
「な、何だと?」
「あれは、ただの事故ではなかった。正しい原因を調べないのなら、いつまでも解決は出来ませんよ」
「長官である私に向かって、何という口の利き方だ。反逆罪に当たるぞ」
真っ赤な顔をした長官は、隣に立つ秘書官に言い放った。
「おい、司【つかさ】。あの娘を逮捕しろ」
司と呼ばれた秘書官は、何も言わずに舞夜を見ている。
「どうした、司。早くしろ」
「…………」
声を荒げる長官を、冷めた目で見る。
常識が通用しない。
やれやれ、全くこの都市は。
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