箱船.11


「俺、お前に何も話してなかったよな。何処まで知ってる?」

「何も。ただ考えただけです。シズマさんは簡単に仲間を裏切るような人じゃない。それなりの理由があって、かなり前から入念な計画を立てていた筈。だから私は、シズマさんを信じて待とうって」

「信じる、か……」

何かを思い返すように呟いたシズマに向かい、繰り返す。

「はい。私は貴方を信じます。何があっても、どんな事が起こっても」

それは遠い約束。

思い出す度に胸が痛む、切ない約束。

「いつも、私が味方でいます」

罪を重ねても、今だけでいい。

自分の持つ全てで信じる。

だから今は、今だけは信じさせて。

夢を見させて。

限り無く愚かで幼い夢を。

許されない夢を。

シズマはそっと手を伸ばして、マイヤの髪に触れた。

「……有り難う」

二人でいればいる程。

自身の深くから強く強く呼ばれる気がするのは何故だろう。

考えても、まだ分からなくて。

それでもこの真っ直ぐな瞳を凛とした声で語られる事を、信じてみても良いのだろうか。

「……訊いても良いか?」

「はい、何でしょう」

向けられた微笑みに、少し黙ってから尋ねる。

「俺はお前に、何も話してない。何も、何一つ。それなのにどうして、お前は俺を信じられるんだ?」

そんなにも真っ直ぐに。

自分の身を危険にさらしてまで。

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